膝関節の脱臼とは

脱臼とは骨の関節が外れることを指し、外力により発生するほか、病的な原因で起こるケースもあります。
体中の様々な関節で脱臼は起こり、最も発生頻度が高いのは肩関節ですが(全脱臼の約50%の割合を占める)特に治療が難しいのは膝関節と言われています。

膝関節脱臼とは、膝関節の相対する大腿骨顆部(だいたいこつかぶ)関節面と脛骨顆部(けいこつかぶ)関節面の位置関係が、全く失われたものをといいます。
非常に大きな外力、たとえば交通外傷や、最近はスポーツ外傷でもよくみられます。

人間の体重を二本の足で支える膝関節の安定性は、前後内外、その他の多くの靭帯・軟部組織により支えられることで成り立っています。
脱臼の際にはこれらは断裂し、重度復合靭帯損傷になるケースが多々あります。
それが治療が大変難しいと言われている所以なのです。
更に、脱臼に合併して膝の後方の重要な血管・神経を損傷することもまれではなく、その場合は緊急手術が必要になります。

傷を負った直後から激烈な痛みがあり、膝は明らかに変形しているので、すぐに病院へ行く必要があります。
状況し次第では、救急車で病院へ行くことも検討すべきです
病院に到着し、診断する際に最も重要なことは血管損傷の有無です。
膝の後方の膝窩動脈(しつかどうみゃく)が損傷され、早期に適切な治療が行われないと、最悪の場合下腿以下が壊死し切断が必要になることもあるからです。

血管損傷の症状は下腿の腫れ、斑状出血、下腿の冷感などで診断します。
診断は、まず足部で動脈の拍動を触れることで行い、確定診断には緊急に血管造影を行います。
血管損傷があった場合は、ただちに血管再建手術を行います。
神経損傷の合併は腓骨神経損傷が多く、足が垂れた状態となり背屈できず、足の知覚も鈍くなってしまいます。
したがって、膝の外傷では足部の動脈の触診や、足部の運動・知覚の診察が重要とされています。

膝関節の脱臼の治療

原始的な方法に感じるかもしれませんが、膝の脱臼に対する治療では、まず手で関節を元の正常な位置に直します。
手による整復後はキプスで固定し整復位を保ち、その後で損傷された靭帯の再建術を行います。
手による整復が不能の場合には、緊急に手術によって整復します。

しかし、靭帯損傷のほかに膝関節部での骨折の合併や、膝蓋腱などの軟部組織の損傷、半月板損傷なども合併していることも多く、不幸にも全ての靭帯は再建しないケースもあります。
状況により一部の靭帯は、歩けるようになってから、段階を踏んで再建術が行われることもあります。
合併損傷がなく靭帯損傷だけの場合は、正座や和式トイレ以外は比較的支障なく日常生活を送れることもあります。
ただし合併損傷が多ければ、関節拘縮や外傷性変形性関節症による疼痛、あるいは靭帯不全による動揺性などがその後も残ってしまうのです。


ページトップへ
Copyright © http://hiza-kansetsu.com/ All Rights Reserved.